二つのフェスティバル公演
今年は大阪国際フェスティバルが始まって50回目となる。また、その舞台となったフェスティバル・ホールは、来年から解体され、2013年に高層ビルに建て替えられることになっている。だから、このホールでの最後のフェスティバルになる。そのためと言うわけでもないのだが、先月と今月の2回フェスティバルに出かけた。
現在は「クラシック・メロディーのデータベース」と「クラシック・メロディーの検索」の制作に没頭しているが、ちょっと骨休めに、2つのフェスティバルの印象などを書いておくことにした。
2008年5月17日(土)17:00より、アンヘル・ロメロ ギター・コンサート
私は高校生のころクラシック・ギターに熱中していた時があった。SPレコードで、アンドレ・セゴビアの弾くグラナドスのスペイン舞曲第5番などを貪るように聞いていたし、1959年に来日したときには、サインをしてもらった記憶がある。カルカッシ教則本を独習で一応マスターした。
また、スペインの盲目の作曲家ロドリゴの「アランフェス協奏曲」が好きで、スペインに旅行してアランフェスの王宮前に立ったとき、ただただ感動してしまった。この協奏曲の第2楽章は「恋のアランフェス」という名前でポップスにも使われている。
そのアランフェス協奏曲を、現代ギターの巨匠であるアンヘル・ロメロが演奏すると知って、チケットを購入した次第である。まず最初は、ファリアの「三角帽子」第2組曲で、これはかなり良く知っている曲だった。次は本邦初演の「フラメンコ・ギターのための協奏曲」で、フラメンコギターは好きな方なので、これにも不満はなかった。
そして、やはり圧巻はお目当ての「アランフェス協奏曲」で、曲も良ければ、演奏もこの上なく良くて大満足だった。
2008年6月6日(金)19:00より、アンネ・ゾフィー・ムター&トロンヘイム・ソロイスツ
こちらは、珍しくクラシック嫌いの妻が強く望むのでチケットを購入した。今年の冬、ベルリンのカラヤン生誕100周年記念コンサートで体験した「身震いのする感動」を、もう一度味わいたいというのだ。なるほど優れた音楽の威力、魔力はすごいものだ改めて思った。
さて、演奏であるが、まず「トロンヘイム・ソロイスツ」によるバルトークの「弦楽のためのディヴェルティメント」から始まった。これは、弦が非常に忙しく技巧的な音を発するが、無調というかメロディーがなくて退屈至極で、この種の音楽にはついて行けないと思った。
ところが、演奏が終わるや否や、大声で「ブラボー!」と叫んでいる人がいる。妻などは、あれは「サクラ」に違いないと言う。私がまったく分からず退屈したというと、クラシックをほとんど聴くことがない妻は安心したようだった。
次は本命のムターが登場。この人には華がある。バッハのヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調を、自分で指揮をしながら(合図をしながらと言うのが正確)、演奏を始めた。こんどはバロック音楽なので、メロディーも明確、リズムがあり、聴きやすかった。しかし、この協奏曲では、まだあのベルリンでの戦慄的興奮にはほど遠かった。
最後はヴィヴァルディの「四季」で、これは非常にポピュラーな曲なので、文句無く気持ちよく聴くことができた。それがベルリンの感動に近いレベルに急上昇したのは「夏」からだった。ムターの魔力がぐいぐいと聴くものを引き込んでいく。
イ・ムジチ合奏団の「四季」を聴き慣れている耳には、ヴァイオリンの音色がたまらなく甘美であり、また、ムターが完全に主役で、これでこそ合奏でなくヴァイオリン協奏曲であると思わせる演奏だった。なかでも、ほとんどチェロだけを相手に掛け合いのように弾きまくるところは楽しく、乗りに乗っていた。ここでもムターは身体で指揮をしながら演奏する。
終われば、もう、拍手鳴り止まず、5回舞台に登場し、3回アンコール曲を演奏した。1曲目は、「四季」の夏第3楽章、2回目は「四季」の冬第3楽章、最後が「バッハのG線上のアリア」だった。
退屈→まあまあ→興奮というのが、このコンサートの経過だった。
(2008.6.7.)
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